インタビュー
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大学病院の外科・救急科では、「判断力」を学びました。
その経験は、いまの診療でも役に立っています。
救急科の医師の仕事は、患者さまをいちばん先に診て症状を抑え、必要があれば症状に適した専門医のもとへ送ること。診療科にこだわらず、どんな病気や症状でも診療するのは、かかりつけの医師と同じ役割だと考えています。
先生は外科出身とのことですが、外科を選んだ理由を教えてください。
学生時代の臨床実習で、いろんな診療科の生の現場を見て、外科を選ぶことにしました。
外科は、手術などの処置をすることで無事にご自宅に帰られる方が多かったんです。医師の技術によって、患者さんの喜ぶ顔が見られる。医師としてやりがいを感じられるだろうし、そういう場面にもっと立ち会いたいと思いました。また、自分の診断を自分の目で確かめられることも外科のいいところだと思います。開腹手術の場合、臓器を直接、診て判断できますからね。
外科から救急科に進まれたのはなぜですか?
「救急ができない外科医は役に立たない」というのが、私が入局した当時、東京女子医科大学の外科教授の考え方でした。外傷でも腹痛でも救急疾患は外科の医師が診るものと教え込まれていたので、自然と救急の道に進みました。
人からは「外科や救急で手術経験があるなら、手先が器用なんでしょ?」なんて言われることもありますが、外科医や救急の医師に求められるものは、判断力だと思います。もちろん器用さも大切ですが、その場その場でどう動くか、手と頭を同時に働かせながら決断していかなければなりませんからね。
当クリニックで訪問診療をおこなっており、時には患者さまがご自宅で急変することもあります。そのときすべきことが即座に判断できるのは、大学病院の外科・救急科での経験があるからだと思います。
クリニックの救急科になじみがない方もいると思いますが、どのような診療科ですか?
そうですね。「急病になった時に、24時間診てくれるから」という理由で大きな病院の救急科にかかる方もいるかと思いますが、存在意義は同じで交代制が出来ないので、24時間は無理ですが「診療科目にかかわらず、いらした患者さまを診る」という点では病院でもクリニックでも同じで診療科にとらわれない科が救急科です。
患者さまをまず、診て症状を捉え、必要があれば適切な専門医のもとへ紹介すること。これが救急専門医の仕事だと思います。いわゆるかかりつけ医としての救急医の役割はそこにあるのではないでしょうか。
急性だけでなく、生活習慣病などの慢性疾患の診療もされているのですか?
内科も標榜しておりますので、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)といった生活習慣病ももちろん診療しています。
生活習慣病では血圧やコレステロール値などの数値が高ければお薬でコントロールしていくことになりますが、基本は食事と運動です。みなさん脂っぽいお肉は避けたほうがいいというのはイメージできるようですが、イカやタコ、貝なども見かけによらずコレステロール値が高くなる食べ物です。診察の際には、こうしたポイントをお伝えするようにしています。
ほかに診察の際、先生が大切にしていることはありますか?
訪問診療では、病院で大きな手術をされた患者さまも診ることもありますが、ご本人やご家族に病気のことをお聞きしても、はっきりと答えが返ってこないことがしばしばあります。もちろん病院で医師から説明を受けていると思うのですが—-。伝えることの難しさを実感しています。
患者さまがわかりやすい言葉を選んで、イメージしやすいようにイラストを見せ、伝わる説明をするにはどうしたらいいかを考えながら診察をおこなっています。