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健康診断結果の見方

肥満は、単に体重が重い、太っているというわけではなく、体に占める脂肪の割合や脂肪のつき方によって判定される。

表1:メタボリックシンドローム診断基準

BMI:「体重と身長のバランス」
BMIが22.2のときがいちばん病気になりにくく、低すぎても高すぎても病気にかかりやすくなる。

内臓脂肪蓄積 必須項目

ウエスト周囲径
男性≧85cm
女性≧90cm
(内臓脂肪面積≧100cm2に相当)

上記に加え以下の2項目以上

高トリグセライド血症  ≧150mg/dl
かつ/または
低HDLコレステロール血症  <40mg/dl  

収縮期血圧  ≧130mmHg
かつ/または
拡張期血圧  ≧85mmHg  

空腹時高血糖  ≧110mmHg

血圧:健康のバロメーターとして欠かせないのが血圧です。血圧の異常の原因は遺伝や加齢などと関連していますが、肥満や食生活、ストレスなどの影響も明らかで、自分自身でその原因を取り除くことも可能です。

WHO(世界保健機関)の定義によれば、正常な血圧とは最高血圧が140mmHg未満、最低血圧が90mmHg未満となっています。
高血圧は、最高血圧が160mmHg以上、あるいは、最低血圧が95mmHg以上となっています。
正常血圧と高血圧の間を「境界域高血圧」と呼び、お薬に頼らず、生活習慣の改善で、正常範囲に戻すことが可能な領域です。

低血圧の定義は、最高血圧100mmHg以下且つ最低血圧60mmHg以下となっています。

末梢血検査:血液中の赤血球やヘモグロビン量などを測って、貧血等を調べる検査です。
貧血の原因のほとんどは、赤血球の材料となる鉄分の不足で起こります。血色素(ヘモグロビン)は、からだ中に酸素を運ぶ大切な役割を担っていて、貧血の診断には欠かせません。ヘマトクリットは、一定量の血液中に赤血球成分がどの程度の割合で含まれているかを調べる検査です。貧血の中で特に多いのは、鉄分が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」です。一般に、女性は月経などの関係で貧血になりやすいのですが、男性の場合は、胃潰瘍や痔などの出血の疑いが考えられます。その他にも腎臓病、子宮筋腫などの病気が原因になっていることがありますので、「貧血の疑いあり」といわれたら、鉄分不足だけが原因とは限らないので、貧血の種類・原因をしっかり検査して下さい。

肝機能検査:肝臓は「沈黙の臓器」といわれるほど異常が外に現れにくい臓器です。そのため、自覚症状がないまま、健診で肝臓病が発見されることが多くなっています。そんな肝臓の異常を早期に発見し、早期に治療へ導くのが、肝機能検査なのです。肝臓病全体としては、ウイルス性の肝炎が多いのですが、健診で発見される肝臓病の多くは、肥満やお酒の飲みすぎが原因の脂肪肝やアルコール性肝障害です。 γ-GTPは肝臓、胆道の病気などで高くなりますが、γ-GTPだけが高い場合は、ほとんどお酒の飲みすぎが原因ですが、肝臓の病気は他にもたくさんあります。
そこで、γ-GTPをはじめ、肝細胞が破壊されると血液中に増加するGOT・GPTを検査することで、肝臓の異常を調べます。

腎機能検査:腎臓は体内の老廃物(不要物)を尿として排泄したり、尿として排泄する前に、体内に必要な物質を再吸収する働きをしています。クレアチニンは筋肉のクレアチンの最終産物で、腎糸球体で自由に濾過されます。急性腎不全で糸球体の濾過機能が低下すると上昇することになります。

検尿:尿蛋白、尿糖、尿潜血などを調べる簡便な方法です。蛋白や潜血が尿に混じっていたら(=陽性)、健康な人でも尿に蛋白や潜血が出ることがあるので、すぐに腎臓の病気というわけではありません。したがって、陽性のときはほとんどの場合「要再検」として、調べなおします。再検査しても尿に蛋白が出ていたら、腎臓の障害が疑われます。尿に潜血が見られる場合は、腎臓か尿路のどこかで出血していることを意味しています。
特に高齢の男性の血尿は、尿路の悪性疾患の場合があるので、再検査が必要です。

脂質検査:血液中に含まれるコレステロール、中性脂肪などの量を測定して、動脈硬化や脂肪肝などの原因となる高脂血症を調べる検査です。主なコレステロールとしては、血管の壁にたまって動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、その悪玉を運び去るはたらきをする善玉 コレステロール(HDLコレステロール)があります。
中性脂肪は糖質のとりすぎで余った糖質は、中性脂肪となって蓄えられます。
総コレステロールや中性脂肪が基準値よりも高くなると、高脂血症と診断されます。高脂血症は、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞、脳血栓、大動脈瘤などの原因になります。善玉コレステロールが低くなると、動脈硬化の原因となります。とくに心筋梗塞では、コレステロール値の異常だけでも、危険因子になるといわれています。しかし、コレステロールは細胞をつくる成分として、またホルモンやビタミンDなどの原料として、大切な働きをしている脂質でもあるため、極端に少なすぎると肝臓や脳、血管などに栄養がいかなくなり、脳卒中が起こりやすくなります。多すぎず、少なすぎず、ほどほどに保つのが健康を保つためのポイントです。

糖代謝:”糖尿病”という名前のせいか、尿糖だけを心配する人が多いですが、糖尿病の早期発見に欠かせないのは血糖の値です。尿糖は糖尿病にならなくても出ますし、軽症の糖尿病では出ないので、それだけでは糖尿病かどうかは判断できません。血糖が高値の場合はヘモグロビンA1c検査により糖尿病の進み具合や糖尿病の管理状態を調べることができるようになりました。

空腹時血糖
126以上
HbA1c
6.5以上

糖尿病診断基準

尿酸:細胞内に含まれる核酸の代謝産物なので、痛風の指標だけではありません。過食、過飲や体重増加や腎機能さらに細胞崩壊など種々の現象の指標となります。

便潜血:消化管(食道から直腸)からの出血を意味し、内視鏡検査による病変の有無を調べなければなりません。(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、胃癌、大腸がんなど)

ビタミン

ヒトは食物から栄養を摂取して生命を営んでいる。その栄養として必要なものは、大きく分けて5つあります。血液や細胞などの身体をつくるのに必要なたんぱく質や脂肪。また、糖質や脂肪は、身体を動かすエネルギーとしても必要です。一方、 ビタミン(有機化合物)やミネラル(無機化合物)は、身体の機能を調節して、身体のなかで起こるさまざまな化学反応を助ける役目があります。

身体を構成する材料ではありませんが、うまく生命活動を維持するために欠かせないのがビタミンです。

ビタミンが発見されるまで、不可解な症状に悩まされる人は後を絶ちませんでした。特に15世紀中ごろから17世紀中ごろまで続いた大航海時代には、多くの船乗りたちが壊血病で命を落としました。インド航路を発見したあのヴァスコ・ダ・ガマも、半分以上の船員を壊血病で失い、命からがらポルトガルに帰還したといわれています。

この謎の病を防ぐ方法を発見したのは、ジェームズ・リンドというイギリス海軍の船医。彼は18世紀中ごろ、オレンジやレモンなど柑橘系の果物が壊血病を予防することを発見し、以来、イギリス海軍ではライムジュースが兵士たちに支給されるようになりました。
さらに、19世紀末にはオランダの医学者、クリスチアーン・エイクマンが米ヌカの中に脚気に効く有効成分を発見。さらにポーランドの化学者、カジミール・フンクが抽出した成分にはアミンが含まれていたため、フンクはこれを「生命のアミン」、すなわち「ビタミン」と名づけた。実際はフンクより1年前、日本の農化学者、鈴木梅太郎が同成分の抽出に成功し、世界に向けて発表したが、論文に翻訳ミスがあったため、「新しい栄養素」としてアピールできませんでした。

現在知られているビタミンは13種類。主なビタミンの内容と、それぞれのはたらき、含まれている主な食品を以下にまとめました。

ビタミンA
単一物質ではなく、ビタミンAの効力を発揮する物質の総称。最初からビタミンAの効力を発揮するものと、体内に吸収されてからビタミンAに変わるカロチン(とくに作用するのはβ-カロチン)とがある。また、目のビタミンと言われるほど視覚と関係が深い。
レバー、うなぎの蒲焼き、小松菜、にんじん、春菊、卵黄、チーズ

ビタミンB1
脱穀によってビタミンB1が失われた白米を常用している地方に脚気が多発していた。当時は食生活が貧しかったことから、副食では十分にビタミンB1を摂れなかったからだ。脚気は日本でも明治時代には、1年に1万人も死亡者が出ていた病気で腱反射の消失、心臓の肥大をもたらす。
豚肉、玄米ごはん、うなぎの蒲焼き

ビタミンB3(ナイアシン)
アルコール依存症で偏食の人に見られる。イタリア語で「荒れた肌」という意味。皮膚の炎症、消化器系の異常、中枢神経の異常が起こり、痴呆もあらわれる。
豚肉、玄米ごはん、うなぎの蒲焼き

ビタミンC
6世紀から18世紀の大航海時代には、この欠乏により多くの船乗りが命を落とした。歯茎や皮膚などからの出血や貧血、体重減少、免疫力の低下などが起こる。
柿、いちご、みかん、レモン、ブロッコリー、トマト、ピーマンなど

ビタミンD
くる病(成人:骨軟化症)はこの欠乏によるもので、かつては日照の少ない地方で多発した。日光浴により、皮膚でプロビタミンDからビタミンDが作られる。欠乏するとカルシウムが骨に沈着せず、骨が盛り上がることで、肋骨のこぶや鳩胸、低身長などが起こる。
魚類(サケ、カツオ、イワシ、マグロ、しらす)、しいたけ(なま・干し)、まいたけ

ビタミンB12
この欠乏により血液中に異常に大きい赤血球が出現する進行性の貧血をきたし、死に至ることもあり、悪性貧血と名づけられた。黄疸などの症状も伴う。
いくら、牛肉、カキ、いわし、たらこ、のりなど

ビタミンの摂取法

基本は食事から

たいていの食材には何種類かのビタミンが含まれているため、効率良く、いろいろなビタミンが摂取できます。
ただし、同じ肉類でも豚肉と牛肉では含まれるビタミンも違うし、緑黄色野菜と淡色野菜でも違うため、同じ食材ばかりではなく、まんべんなくとることが大切です。

野菜の取り方

  • 1日に300g程度の野菜はとるようにする
  • 旬のものを選ぶこと
  • 保存するほどビタミンは減るので早めに調理する
  • 保存するなら、調理してから冷凍しておく
  • にんじんやごぼうなど皮のある野菜は皮をむかずに調理する

ビタミン別のとり方のコツ

ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、油と一緒にとると吸収率がアップする。従ってほうれん草やにんじんを食べる時は油で炒めたり揚げたりすると効率がよい。また、ゴマや牛乳などの油脂分を含んだ食品を一緒にとれば大丈夫。特に植物性の油ならビタミンEがたっぷり含まれているのでオススメです。
ビタミンB群やCは水に溶けやすく熱に弱いため、すばやい調理が必要になる。そこで水洗いを手早くし、ゆでたり炒めたりする加熱時間は短く、調理したらなるべく早く食べること。
カルシウムの吸収に必要なビタミンDは、ビタミンの中で唯一紫外線を浴びることで体内で合成される特徴がある。

ビタミンCやEには抗酸化性(酸化を防ぐ)があり、ビタミンEは脂肪の中、ビタミンCは水のなかでそれぞれはたらく。ビタミンEが活性酸素をとらえて酸化されるとそれをビタミンCが還元し、もとのビタミンEに戻すはたらきがある。ビタミンA(β-カロチン)とビタミンEにも上記と同じようなはたらきがあるのだ。よって、ビタミンA、C、Eは一緒にとるのがいい。

サプリメント

保健機能食品は、特定保健用食品及び栄養機能食品の2種類の類型からなり(概要図参照)、それぞれに独自の表示をすることを可能とするものです。

(1)特定保健用食品
(個別許可型)

特定の保健の用途に資することを目的とし、健康の維持、増進に役立つ又は適する旨を表示することについて、消費者庁により許可又は承認された食品です。

(2)栄養機能食品
(規格基準型)

高齢化、食生活の乱れ等により、その人にとって不足しがちな栄養成分の補給、補完に資することを目的とした食品です。
その食品から1日当たりに摂取することとなる栄養成分の量について一定の基準を満たす場合、その栄養成分の機能に関し一定の表示を行うことが可能となるものです。

保健機能食品の概要図

特定保健用食品

  1. 保健機能食品(特定保健用食品)である旨
  2. 栄養成分量及び熱量
  3. 1日当たりの摂取目安量
  4. 摂取方法
  5. 摂取をする上での注意事項
  6. 1日当たりの栄養所要量に対する充足率
    (関与成分が栄養所要量の定められた成分である場合)

栄養機能食品

栄養機能食品と称して販売するには、栄養機能食品の規格基準(「1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量」の上限値・下限値)に適合するとともに、当該栄養成分について栄養機能の表示を行う場合には、次に示す「栄養機能表示」に併せて、当該栄養機能表示それぞれに対応する「注意喚起表示」を表示しなければならない。

  1. 保健機能食品(栄養機能食品)である旨
  2. 栄養成分量及び熱量
  3. 1日当たりの摂取目安量
  4. 摂取方法
  5. 摂取をする上での注意事項
  6. 1日当たりの栄養所要量に対する充足率
  7. 消費者庁による個別審査を受けたものではない旨

ミネラル:亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム。

ビタミン:ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸

動物による咬傷と刺傷

人間を含めて動物の多くは、驚かされたり挑発されたりすると咬みつきます。咬まれたことによる傷は咬んだ動物の口の中の細菌により感染を起こすことがあります。

また、一部の生物は口器や毒針を通じて毒液(毒)を注入します。毒液は毒性の弱いものから生命にかかわる強力なものまで幅があります。弱い毒でも、重いアレルギー反応が起こることもあります。

応急手当

  1. 出血を止めること(止血)。出血している部位がわかる場合は、そこを直接、指や手で5分間以上強く圧迫すれば、ほとんどの場合止まります。可能であれば出血部を、心臓よりも高い位置に持ち上げるとより良いです。
  2. 感染防止、泥や破片は取り除き、傷口をきれいに洗いましょう。目に見える破片はつまんで取り除き、細かい泥や破片は刺激の少ないせっけんと水道水でよく洗い流します。その後に残った泥や破片は、ぬるめのお湯を勢いよく流して洗います。アルコールやヨードチンキ、オキシドールなど消毒液は組織を傷め、自然に治る力を損ないます。深いすり傷はブラシでよく洗います。洗浄した後は抗生物質入りの軟膏を塗り、包帯を巻きます。傷が小さい場合は、市販のカット判で十分です。深い傷や大きな傷の場合は医療機関での縫合が必要なことがあります。

家庭で手あてをする場合は、数日間は感染の徴候がないか注意する必要があります。感染の徴候が疑わしい場合は、直ちに医師の診療を受けましょう。

マムシ

  • 咬傷部の10~20cm近位側を皮下静脈のみ圧迫する程度の強さで緊縛する。
    (動脈血まで遮断するのは逆効果)
  • 排毒は口による吸引や圧迫にて行う。(飲み込んでも胃液で分解されるため心配ない)
  • 受傷肢は、安静にして心臓より低い位置を保持する。
  • あわてて走ったりすると、局所の毒が全身に回る危険があるため、安静かつ迅速な来院を勧める。

ヤマカガシ

全長は100cmほどで、体色は、褐色の地に赤と黒の斑紋が交互に並んでいる。東日本の個体では斑紋がはっきりしているのに対し、西日本の個体ではややぼんやりとしている。
口腔の後方に毒牙を有する後牙類(後牙蛇)であり、深く噛まれると危険。毒は出血毒であるが、おもに血小板に作用してこれを破壊する性質であるため、激しい痛みや腫れはあまり起こりません。しかし、噛まれてから20-30分後ぐらいから、血液中の血小板が分解され、血液の凝固能力が失われ、全身に及ぶ皮下出血、歯茎からの出血、内臓出血、腎機能障害、血便、血尿などが起こり、最悪の場合は脳内出血も起こります。また、頸部にも頸腺と呼ばれる別の毒腺があり、危険が迫ると相手の目を狙って毒液を飛ばします。これが目に入ると結膜、角膜の充血や激しい痛みを生じ、最悪の場合失明もあり得ます。ヤマカガシは本来、大人しいヘビなので、手を出したりしない限り噛まれることはないとされています。

ムカデ

ムカデは自分の身体に触れてくるものに対しては素早く噛み付きます。ムカデに“刺された”といわれますが、一対の鋭いアゴで噛み付くので“噛まれた”と言うのが正しいです。アゴの先端部分から毒が出て、炎症(重症の場合は周辺組織の壊死や潰瘍)あるいはアレルギー反応の原因になります。ムカデに噛まれたらすぐにムカデを振り払い、そしてまず傷口から毒液を搾り出すように圧迫し、口を当てて吸い出します。
毒の拡散を減らすため傷口周辺を氷や冷シップ、あるいは水などで冷やし、あれば抗ヒスタミン剤、ステロイド剤の入った軟膏などを塗り、病院にかかってください。動悸や悪寒、めまい、吐き気、頭痛などを感じたときはアレルギー性ショックを起こす場合もあるので救急車を呼んで早く行きましょう。

ハチ

ハチ毒アレルギーとは、ハチに刺された時にハチ毒が体内に入って起こるアレルギー反応のことで、ときにアナフィラキシーを起こすことがあります。
日本ではハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックによって毎年30人前後の死者がでています。ヒトを刺すハチの種類は、主にミツバチと、スズメバチおよびアシナガバチです。アレルギーの発現には、ハチ毒に含まれるアミン類やペプチド類といった物質が関わっています。

症状:局所のはれからアナフィラキシーショックまで多様です。
ハチ毒にアレルギーの人でなければ、ハチに刺されても強い痛み、かゆみ、発赤、はれといった局所症状があらわれるのみで、通常3日間ほどで消失します。しかし、ハチ毒アレルギーの人では強い反応が起こり、嘔吐、寒気、全身のじんましんといった全身症状から、呼吸困難や意識障害などのショック症状があらわれ、時には死に至ることもあります。
アナフィラキシーがあらわれるのは、通常、刺傷後15分以内ですが、症状が早くあらわれる時ほど重症化する傾向があります。

ハチに襲われないために

  1. 屋外での作業や山歩きをする際などは、長そで、長ズボン、手袋などを着用し、肌の露出を避ける。
  2. 黒い色や甘い臭いに誘われる性質があり、香水や黒い色の衣服は避ける方が無難です。

ハチ刺し事故に備えて

アレルギー体質の人や以前ハチに刺されたことのある人は、ハチ刺し事故には特に注意が必要です。なかでも、野山での作業をする機会の多い人は、万が一のハチ刺しによるアナフィラキシーショックに備えて自己注射用アドレナリン注射液を常に携帯する等の対策をとることが望ましいでしょう。

ハチに刺された場合は

ハチの毒針が残っていたら直ちに爪等で取り除いてください。また、吸引器をもっている場合はハチ毒を吸い出してから、患部を冷やします。手足を刺された場合は心臓に近いところを縛るなどの処置もあわせて行います。腫れた患部に抗ヒスタミン薬などの薬を塗り、医師から指示されている場合には内服用の抗ヒスタミン薬を服用します。

家の中にハチが入ってきたら

明るい側の窓や戸を開けて、刺激しないようにハチが外へ出ていくのを待ちましょう。この時、ハチは天井に舞い上がってしまった場合、下の方にある窓が見えないときがありますので、家庭用のエアゾールをハチから1~3m離してハチに向かって噴霧します。ハチ用の殺虫剤でなくても、薬が体に付着すれば、5~10分後には下に落ちて死にます。

鰹の烏帽子(カツオノエボシ)

触手に強力な毒をもち、刺されると強烈な電撃を受けたかのような激痛がある。患部は炎症を起こして腫れ上がり、痛みは長時間続く。二度目に刺されるとアナフィラキシー(アレルギー反応の一種)を起こし、ショック死する危険がある。
カツオノエボシの触手に触れると、表面にある細胞から刺胞という微小な毒針が発射され、これに含まれる毒が炎症や痛みを引き起こします。

  • 刺胞は接触の刺激により発射されるので、触手に触れてはならない。
  • 真水や酢による刺激にも反応して発射されるので用いない方がよい。通常のクラゲ刺傷には酢が有効とされているが、本種では逆効果である。
  • 本体の生死に関係なく、刺胞は物理的な刺激に反応して発射されるため、砂浜に打ち上げられたものにも触れない方がよい。
  • カツオノエボシは透明で青みがかっているため海の色に溶け込み、遠くから見つけるのは難しい。海面下に垂れ下がっている触手も見分けにくい。
  • 刺されたことによってパニックに陥らずに、落ち着いて岸に戻り、体に絡み付いている触手を海水で洗い流して取り除く。このとき素手で取り除こうとすると二次的に刺されることになるので、厚手の手袋など手を保護し、触手を除去した後、氷や冷水で冷やし、病院で治療をうけてください。